意外と知られていないのですが、住宅ローンは原則30㎡(平米)以上のマンションであれば利用できます。
そこで、単身のうちに30㎡程のマンションを「借りる・買う」という選択肢について、東京中央区の不動産会社の人間として考えてみます。
◆住宅ローンは30㎡以上のマンションから利用可能
住宅ローンは原則で30㎡以上のマンションから利用可能です。
(細かく言うと30㎡というのは登記面積になりますが、詳細はここでは省略します)
単身者で一人暮らしの場合、買うか借りるのかという選択をすることができる広さになります。
需要としては、東京23区には一人暮らし向けの間取りとして25㎡前後が多いため、30㎡というとやや広めということにはなってきます。
弊社は茅場町駅前の不動産会社となり、周辺の日本橋エリアには30㎡の賃貸マンションも売買マンションも存在します。
広さ的にも、賃貸か購入かを一人暮らしの社会人の方でも選択できることになります。
もちろん、借りる方の方が多いのはご察しの通りです。
「マイホームを買うか買わないか」という永遠のテーマとなっている議論と同様に、どちらが良いかという正解はありません。
私も「どちらも良し」と考えています。
◆月々の支払額は買う方が安い
住宅ローン金利は現在2022年11月時点でも、いぜんとして低金利が継続中です。
そのため、30㎡のマンションを買う場合と借りる場合では、買う場合の方が毎月の支払い金額は抑えられるということになります(35年ローンのケースを想定)。
マンション購入の場合、住宅ローンの支払いに加え、毎月管理費と修繕積立金の支払いが発生しますが、それらを加味しても購入の方が月々の支払は賃貸よりも安くなるのが現状です。
「購入と賃貸の支払い面ではどちらが得なのか?」というのを数字を用いて書いていくと、非常に長くなってしまうため、ここではざっくりと支出費用項目についてあげてみます。
便宜上、2年間で考えるとわかりやすくなりますので、そのようにさせて頂きます。
賃貸の支出
- 家賃×24か月
- 賃貸更新料1か月
- 火災保険更新料(値上げ傾向)
- 保証会社更新料
購入の支出
- 毎月の住宅ローン×24か月
- 毎月の管理費・修繕積立金
- 固定資産税×2年分
簡単に比較
ざっくりと2年間の支出項目を比較するとこのようにはなります。
現在は購入派が毎月低金利の恩恵を享受できるため、2年間でみた場合の支払い額は、購入の方が抑えられるのが普通です。
※物件によって変わる場合もあり。
購入の場合のほうが初期費用は高くなり、室内の設備の故障は自腹という点も存在していたりもします。
ただし、購入の場合は毎月住宅ローン元金を返済していく過程で、時の経過とともに元金の残債(残りのローン)が減っていきます。
やや専門的な言い方になりますが、徐々に所有不動産(マンション)に含み益が生まれていくことになります。
言ってみれば低金利の恩恵を受け、不動産に毎月貯金をしていくような感覚です。
この点も踏まえると、どちらがお得かという点のみで考えると購入に軍配が上がります。
不動産会社の人間の私としては、これは住宅購入の大きなメリットだと考えています。
「時間を味方につけることができる」というのがローン商品の特徴と言われる所以です(低金利のためなおさら)。
事実、不動産会社に勤める単身者で30㎡強の物件を住宅ローンで購入してる方は意外にいるものです。
◆将来マイホーム購入派は注意も
30㎡のマンションを単身時に購入しようかどうか考えている方には一つ注意点があります。
それは、将来マイホーム購入派の場合、これから購入するマンションの残債が足かせとなるケースがあることです。
簡単に言いますと、将来の住宅購入の際に組む住宅ローンの借り入れ可能額が、現在のマンションのローン残債があるため少なくなってしまうということです。
2つ目の住宅ローンを難なく組める方というのは、やはり少数派です。
このようなケースに直面した場合、対策としては所有マンションの売却というのが一般的となります。
これまでの毎月の住宅ローンの支払いにより残債も毎月減ってきているため、所有マンションを売却します。
いわゆる買い替えです。
注意点としては、売却金額が現在の住宅ローン残債よりも低い場合は、その差額分の現金を持ち出す(払う)ことになる点です。
価格の高い新築マンションや中古でも相場より割高な価格で単身時に購入している方は、買い替えの際、この点に注意する必要が出てきます。
言うまでもなく、購入前にエリアのマンション相場はある程度把握しておくことが重要です。
不動産会社として現場にいた中で、
女性が単身時にマンション購入→結婚→男性が単独でマイホームの住宅ローンを組む
といったケースに遭遇することもありました。
このような場合、女性が所有マンションを「売却」ないし「賃貸で貸し出す」という方法をとることもできます。
女性の所有マンションを貸し出す場合は、事前に借入している金融機関へ相談するようにしましょう。
住宅ローンでの不動産賃貸業(不動産投資)は原則禁止です。
ただし、結婚が理由の場合は認められるケースも多いと耳にします。
このあたりは、その時々の時代背景にもよって変化しますので、いずれにせよ金融機関へご相談が必須です。
相談せずに賃貸に出し、発覚しローン残債の一括返済を迫られるというケースもありえますのでご注意下さい。。
先に申し上げた通り、30㎡以上のマンションを単身時に買うか借りるのかという選択に正解はありません。
不動産の性質上どちらにしても、将来の舵取りは可能というのが不動産会社の人間としての見解となります。