漫画の「正直不動産14巻」を改めて読みました。
内容のネタバレとならぬように、それぞれの章のテーマについて不動産会社目線で触れていこうと思います。
◆原野商法(後編)
今でこそバブル期と言われている時代に横行したとう原野商法。
現在39歳の私も聞いたことのある商法の話です。
「現代にまだこういった不動産会社の存在はあるのか?」といった感想を率直に持ちました。
確かに、当時から土地を所有していた方々が高齢になっており、状況によっては相続が発生し、土地所有者の考え方も多種多様に変化しているであろうというのは納得できる点でした。
昨今は「限界ニュータウン」などという言葉も耳にするようになりました。
人口減少により、空家も増えていく時代に突入しています。
「原野商法に気をつける時代は再び到来しない」とは言い切れないのかもしれません。
「甘い言葉に騙されるべからず」というのはいつの時代も同じだと思います。
◆住宅ローン事務手数料
「住宅ローン事務手数料」をお客様から頂くかどうかという話です。
不動産会社にいると、この「住宅ローン事務手数料」という言葉を耳にすることがあります。
名前に決まりはなく、ざっくり言うと、不動産会社が住宅ローンの代行をするため仲介手数料以外にもこういった名目で手数料を頂くということです。
ほとんどの不動産会社では、このような手数料を通常は頂きません。
私もこれまでに頂いたことはなく、弊社でも頂いておりません。
考え方としては、仲介手数料にローンのお手伝いも含まれているという認識でおります。
住居系・投資系物件の購入時に今回出てきたローン代行手数料が不動産会社によっては必要となります。
もちろん違法ではなく、それぞれの不動産会社のスタンスによるため不動産購入予定者は覚えておいて損はないと思います。
◆物上げ
不動産のマンガであるとはいえ、マンガで「物上げ(ぶつあげ)」という言葉が出てくるのは何か少し驚きました。
物上げは不動産業界用語で、平たく言うと「物件を売ってもらうために営業をする」ということです。
よくあるのが、自宅などのポストに投函されているDMで「ご所有不動産をお売り下さい」というものも一つです。
ひたすらテレアポのような形で電話をかけ続ける不動産会社もあれば、直接インターホンを鳴らし飛び込み営業をする会社もあったりします。
あるマンションの号室の謄本を全て取得し、宛名付きでDMを郵送するというのもあります(私の自宅にも届きます)。
関連:「不動産を売って下さい」というチラシやDMがポストに入っているのはなぜか?
まだまだ、売却をしてもらうための営業というのはたくさんありますが、この正直不動産の中でも主人公が例を上げていますので参考下さい。
今回の「物上げ」の章で「売る気がないのに不動産を売ることもある」というのを不動産会社として再認識しました。
ネタバレのリスクがあるため詳細は割愛させて頂きますが、所有不動産というのは明確な目的がなくても何がきっかけで売却意向へなるのかはわからないものなのだと思いました。
また物上げとは別ですが、章の中でZ世代の使う言葉で「チル」「タムパ」というのがあるということをアラフォーとして勉強させて頂きました。
◆家賃滞納
賃貸保証会社を利用していない入居者の家賃滞納の話です。
昨今の賃貸借契約では保証会社を利用するのが慣習となっています。
弊社でも管理物件で賃貸募集をするときは、保証会社利用必須という条件の下で行っています。
今回の話で不動産会社として、オーナー(賃貸人)様保護の観点で、やはり保証会社利用の重要性を再認識しました。
保証会社を利用しない賃貸借契約の場合で滞納が発生してしまった場合、保証人の方が契約書に書かれた極度額の範囲内で代わりに払う必要があります。
(今回のケースでは保証人の方の登場はありませんでしたが)
今回のお話ではオーナー様が損失を被るという方向性でまとまっていますが、現実としてはオーナー様のリスク回避も含め、やはり保証会社を利用した賃貸借契約が必須であると考えます。
賃貸借契約というのは、貸主と借主が互いに「良し」となる契約であるべきだと思います。
◆更新料(前半)
「支払った賃貸の更新料を返して欲しい」という話です。
通常の普通賃貸借契約は2年で更新となるのが一般的で、更新時には新賃料の1か月分の更新料を支払うという契約内容となっているのが大半です。
(東京23区では更新料1か月が一般的ですが、地域によってはこのあたりの商慣習も異なります)
今回の話は、この支払った更新料の返還を借主(入居者)の自己都合で求めるという話です。
一旦は不動産会社の窓口段階で断られるも、主人公が入居者の手助けをしようとするところで、前半の終了です。