「消費税は近い将来15%に上がる可能性がある」とは時々耳にするものです。
仮に実際に15%へ増税された場合に不動産購入へはどのような影響があるのでしょうか。
ここでは、不動産会社視点で基本的な影響について書いていきます。
◆消費税が15%に増税?
「いずれ消費税は15%に上がるのではないか」という予想が巷ではささやかれています。
ささやかれてはいるものの、実際はどうなるのかはわからないというのが正直なところです。
しかし、昨今の日本の経済状況を鑑みたうえで、「いずれは上げざるを得ないのではないか」と思っている方々は正直多いと思います。
私もそう考えてしまう人間の一人です。
◆消費税が15%→不動産建物価格へ影響
消費税が15%になった場合、当然ながら価格の大きな不動産市場への影響は大となります。
単純に4,000万円の不動産の消費税を考えると、
- 消費税10%=400万円
- 消費税15%=600万円
となり、やはり200万円という上げ幅のインパクトは大きいです。
◇建物のみに15%適用
不動産は実は土地には消費税がかかりません。
そのため、消費税が15%に上がった場合は、建物の消費税が上がることになります。
それでも、注文住宅で3,000万円の建物を建てる方にとっては、
- 消費税10%=300万円
- 消費税15%=450万円
となり、150万円という上げ幅のインパクトとなりますので、やはり影響は大きいです。
◇個人売主物件は非課税
加えて、個人が売る不動産(個人が売主の不動産)は消費税がかかりません。
土地はもちろんですが、建物にも消費税はかかりません。
例えば、家族で住んでいる戸建やマンションを売りに出している物件があると思います。
こういった売り手側が個人になる物件については非課税対象の物件となり、消費税15%の影響は受けません。
◇法人売主物件は15%
対して、法人が売主となっている物件は消費税15%の対象となります。
土地はもちろん非課税ですが、建物には消費税がかかります。
一般の法人や不動産会社が売主となっている物件が対象となります。
例えば、4,300万円の戸建の一例です。
- 土地:2,000万円
- 建物:2,000万円
- 建物消費税15%:300万円
やはり、価格が大きいだけに消費税額の印象も大きいです。
中古マンションについても、ほとんどは土地を区分所有者全員で共有で持つ敷地権という権利にて土地と建物を購入することになりますので、戸建と消費税の考え方は同じです。
◆諸費用へも消費税15%は影響
物件に対しての消費税15%の影響については前述の通りです。
不動産購入では、物件の他にも諸費用がかかりますので、それらにも消費税15%は影響してきます。
◇仲介手数料
不動産購入時の仲介手数料には消費税がかかります。
一般的に仲介手数料は物件本体価格3%+6万円+消費税です。
仲介手数料の本体価格に対して、消費税5%上昇の影響を受けるということになります。
◇司法書士報酬
不動産購入は司法書士の先生へ登記をお願いすることが慣習です。
登記にかかる登記費用は国税のため税金はかかりませんが、登記を行う司法書士の先生への報酬に対しては消費税15%の影響を受けることになります。
司法書士報酬額は物件ごと購入方法ごと案件ごとに異なりますので、購入前に確認することになります。
◇振込手数料
振込手数料という細かい話となりますが、不動産購入では大きな金額を振り込むこととなる取引です。
その際に発生する金融機関への振込手数料も課税対象です。
振込手数料の本体金額に対して消費税15%の影響を受けることになります。
◇(火災保険)
保険のため、直接消費税とは関係ありません。
ですが、火災保険が今年2022年に値上げとなり、今後も値上げ傾向が予測されているため、補足の意味で書かせて頂きました。
関連:2022年10月より火災保険は値上げ、地震保険は値下げ
◇賃貸へも影響
不動産購入には消費税15%の影響は大ですが、賃貸の場合にも影響はあります。
購入同様、仲介手数料への影響はもちろん、その他の退去時のクリーニング・原状回復費用や鍵交換費用などの本体金額に対しては消費税15%が影響してきます。
また、事務所(オフィス)や店舗を借りている方はそのまま家賃+消費税15%になるため影響大です。
弊社も同様ですが、家賃は毎月の固定費のためインパクト大というのが率直な意見です。
事業の場合は賃貸契約の更新料も課税対象になるため、消費税増税の影響は居住系に比べてより大きくなります。