賃貸の入居(引渡し)可能予定日は延期になるリスクもあるため注意が必要

東京で不動産会社をしていると、賃貸の「入居可能予定日」「引渡し予定日」には注意する必要もあると認識しています。

不測の事態が起こった時に入居予定者や会社へ入居時期を延ばしてもらう必要が出てきてしまうためです。

入居日・引渡し日は重要なため、注意も必要です。

 

◆賃貸の入居(引渡し)可能予定日

現在は12月。年内に新居や事務所への入居(引渡し)を希望される方も多いです。

そういった方々のために、賃貸借契約も年内入居を念頭において締結されることも多くなります。

また不動産業界では、住居系物件(レジデンス)も事務所物件(オフィス)も年明けの1月~3月には繁忙期へ入り入退去の動きも活発化します。

その際に、借主(借りる人や会社)にとって入居日というのは大事な項目となります。

物件を探していると、言わゆる物件概要の図面(不動産業界ではマイソクと呼ばれたりします)に「入居(引渡し)可能日:3月末予定」などの記載があったりします。

実際に東京で賃貸を探すと、現在の入居者または事業者が退去予定の物件を検討していくという流れが多くなります。

現在の入居者や事業者が退去し、原状回復工事を行い、その後に入居できることになり、物件の概要図面には「入居可能予定日」が記載されることになります。

あくまで「入居が可能になる予定」という表記のため、延期もあり得るという可能性を残しているのもまた事実です。

延期となると、借主にとって引っ越しの段取りやその後の生活・事業にも影響が出る可能性があり、死活問題となってしまうケースもあります。

 

◆原状回復工事で入居(引渡し)可能日が延期

入居可能予定日が伸びてしまうケースとして最も多いのは、原状回復工事の遅れがあげられます。

原状回復工事とは、簡単に言うと借主が退去の際に室内を元どおりに修復する工事です。

賃貸物件では住居物件も事務所物件も、「現入居者の退去→原状回復工事→次の入居者が入居」という流れとなります。

 

◇工事内容で延期

以前の借主が退去後に、原状回復工事がどれだけ必要になるのかの現地調査を工事業者が行います。

当然1年住んだ(使用された)物件と10年住んだ物件とでは原状回復の内容は異なります。

原状回復工事が大がかりとなれば、工事期間は長くなります。。

ですが賃貸募集をする前には、ある程度余裕をもった原状回復工事期間を見越して物件概要図面に入居可能日を設定しているため、ここは問題になりません。

問題になるケースは、どこか不具合がみつかったケースです。

例えば、給排水管から漏水箇所がみつかった場合などは工期も長くかかる原因となります。

そういった場合は、他の工事との連携なども重なり、当初予定していた次の借主の入居可能日を先延ばしにせざるを得なくなってしまいます。

 

◇設備調達のため延期

この度のコロナ禍では、給湯器やトイレなど市場在庫が不足状態になるという事態が発生しました。

一時的に流通がストップしたためです。

その在庫不足状態で、物件によっては「給湯器の納品待ち」「トイレの納品待ち」という事態に見舞われたという工事現場の話も耳にしました。

そういった現場の状況下では、やはり苦肉の策として次の借主に入居延期をお願いせざるを得ないということになってしまいます。

工事が完了していなければ、物件を引渡せないためです。

 

◆入居(引渡し)可能予定日には注意も必要

ここまで注意喚起してきましたが、入居予定日の延期は賃貸物件全体からみれば少数です。

しかし、実際に私も不動産会社の人間としてお客様の住居物件でも事務所物件でも、原状回復工事の内容により延期をお伝えしなければならなくなった経験もしています。

幸いそういったケースの時も、物件へ申込はしているものの賃貸借契約締結前であったため、別の部屋へ変えて頂けることで解決できてきました。

入居予定や移転予定の借主が困ったことになってしまうのは、賃貸借契約を締結し、引っ越しの段取りをし、新生活や新事業の予定までも入居可能予定日を基準に組んでいたところ「入居日延期」をお願いされるケースだと思います。

そこまで物事の段取りが進んでいた場合、もはや次の物件を探し、検討し、改めて転居後の予定を組み直すというのは途方もないエネルギーがかかることは想像に難しくありません。

(その前に、そもそも締結済みの賃貸借契約を解約することができるのかという問題も先行します)

そうなってくると、申込後に原状回復工事などの算段がしっかり固まった後に賃貸借契約を締結したいところですが、東京の賃貸物件の流通事情では、そのスピード感では貸主(貸す人や会社)側の許可がおりず契約締結優先とされてしまうことが一般的です。

そのため、入居可能日を特に重視する借主としては、できれば余裕を持って借り先の物件を探し、賃貸借契約を締結をするのがリスク回避とも言えます。

その分、現在借りている物件との「家賃のダブル払い期間」が生まれてしまう結果は免れないかもしれません。

 

不動産会社として、賃貸でも売買でも入居時期(引渡し時期)というものがどれだけ当事者にとって重要かは認識しているため、注意を払って進行するものです。

しかし、借主と貸主の当事者の事情に加え、工事などの外的要因なども絡み物事が複雑化することがあるというのも身に染みて認識しています。

これから物件を借りようと考えている方や会社にとって不測の事態が無いとは限りません。

そのため、借主の入居日延期についてのリスクは0ではないということを頭の片隅に入れておいて損はないと思います。

年明けに私自身も友人の会社の社宅を年度末時期の入居設定にて、弊社近所で物件を探しお手伝いをさせて頂く任務が控えているため、注意して進めていこうと思います。