不動産賃貸業(投資)をされている方やご自身の不動産の売却を考えている方にとって、近隣のライバル物件の存在は非常に重要になってきます。
このあたりについて、東京の不動産会社目線で基本的な部分について書いてみます。
◆貸す(賃貸)・売る(売買)でのライバル物件
不動産を貸す(賃貸)にも売る(売買)にもライバル物件の存在を無視してはいけないとは、よく言われるものです。
ライバル物件はすなわち競合する物件。
最も簡単な例としては、同じマンションの物件だと思います。
賃貸でも売買でも同じマンションの別の部屋の物件が「貸しに出ている」「売りに出ている」となれば無視することはできません。
賃料や価格についてライバル物件に対してどのように「値踏み」していくかを考える必要が出てきます。
また、近隣の類似するような物件もライバル物件と呼ばれます。類似とは駅距離・広さ・築年数などを指します。
◆家賃・価格でのライバル物件
同じマンションや近隣の物件で駅距離・広さ・築年数が同じくらいの物件がある場合、家賃や価格の値付け次第で成約までのスピードが変わってくるのが普通です。
家賃と価格は借主(借りる人)や買主(買う人)が最初に最も目につくところとなります。
単純に安い物件の方が注目は高まりますが、物件の特徴やスペックによっては家賃・価格が高い物件にも成約のチャンスは生まれてきます。
例えば、「家賃が高いけど、室内設備が良い」「価格が高いけど、室内状態が良い」「価格が高いけど、最上階」などです。
こういった物件の差別化が無い場合、安い物件の方がより注目される結果となってくるのが不動産流通の世界です。
以前、弊社で所有している区分マンション(マンションの一室)がありました。
弊社でその区分マンションを売りに出したところ、しばらくして他の不動産会社より弊社へ電話がありました。
簡潔に内容をまとめますと、『同じマンション内で弊社より安く他の部屋を販売することになる』という内容でした。
この時は、ご丁寧に電話を頂き助かりました。
その後、弊社は価格を下げるという形をとり、無事にご成約となりました。
◆設備やスペックでのライバル物件
近隣の同じような築年数の物件の場合、建物や室内の設備についてもライバルと争うことになります。
例えば、マンション自体のオートロック・宅配ボックス・Wi-Fi環境・共用部の雰囲気や清潔さ・方位・立地条件などなど、建物全体そのものがまずは比較対象となります。
室内に視点を移しても、そもそもリフォーム済みかどうかから始まり、バストイレ別・キッチン・化粧台・浴室乾燥機・室内洗濯機置場などなど比較項目は多数存在します。
賃貸も売買も近隣のライバル物件を考慮し、賃料・価格を考える必要が出てきます。
◆築年数でのライバル物件
建物の築年数が同じくらいの近隣の物件もライバル物件となります。
物件探しにおいて、インターネットの検索条件に「築〇〇年以内」と条件を入れることができます。
例えば築25年以内での検索条件の場合、築25年以内の中で家賃・価格や間取りなどその他の内容を比較して候補を洗い出していくという方法が物件探しの主要な方法の一つです。
2022年現在、茅場町駅で不動産会社をしていていると、近隣に新築の賃貸マンションや事務所(オフィス)ビルが建ち、その募集賃料を拝見すると、家賃が高くなってきていると感じています。
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そのやや上がり傾向の新築家賃に対し、周辺の比較的築浅な物件はどの程度の賃料で募集をするかということになってきます。
「新築プレミアム」という言葉もある通り、日本の不動産市場では新築の家賃は高く設定されるものです。
新築物件と築浅物件については、近隣のライバル物件の数により賃貸も価格も差は狭くも広くもなります。
不動産市場も需要と供給の関係が大きく影響し、賃料・価格が形成されていくのは不動産会社をしていると強く感じます。