マンションにある立体の機械式駐車場をご存じの方は多いと思います。
昨今東京では、その機械式駐車場をやめて平置き(平面置き)のみにするマンションも出てきていると聞きます。
◆マンションの立体機械式駐車場をやめる
東京のマンションでよく見かけるのが、機械式の立体駐車場です。
土地価格が高い立地の中、土地面積を有効利用するために立体式の駐車場にするということは自然と理解できます。
(東京都の条例の駐車場付置義務・駐車場整備地区なども関係してきたりします。商業施設やターミナル駅近隣などでも立体駐車場は見かけるものです。)
マンションによっては、新築より備え付けられている機械式駐車場をやめてしまうというマンションも増えてきたと聞きます。
やめるという表現がわかりにくいかと思いますが、「廃止する」「電源を止め平置きのみにする」といった表現であればわかりやすいかもしれません。
「電源を切ってしまい、平置きにのみにしている」ということも、ちらほら耳にします。
このあたりの流れについて、東京の不動産目線でシンプルな理由をあげてみます。
(平置きのみにするといっても、どのような方法で平置きにするのかはマンションによっても異なり、ここでは省略します)
◆理由①:維持費と収入の関係
立体の機械式駐車場ですが、根本的に維持費が高いものです。
この維持費(メンテナンス費用)はそもそも、駐車場を借りる方から頂く「駐車場代」で賄っていく計画となります。
その収入=駐車場代と支出=維持費の収支が合わない場合、機械式駐車場を維持していくことには疑問が出てしまいます。
分譲のマンションの場合は、通常、区分所有者(各室の所有者)全員で管理組合に所属することになります。
会計処理の内容を分析するのが、いわゆる理事会の場であり、区分所有者から選ばれた役員が定期的に行います。
最終的には一年に一回の総会時に年間の会計報告があり、区分所有者に説明が行われ決議を取るという流れです。
その中の管理費の収入(マンションによっては修繕積立金の収入)部門に機械式駐車場の収入も含まれます。
管理費の収入というのは、区分所有者が毎月支払っている管理費と同じ項目に分類されますので、機械駐車場の収支はそのまま管理費の損益に直結することになります。
機械式駐車場をやめて平置きのみする選択をしたマンションは、単純にこの維持費と収入の関係がうまくいかなくなったことが原因であることがほとんどのはずです。
こういった流れのなか、総会にてマンションの機械式駐車場をやめるという決議がまとまれば平置きのみにすることができます。
どのような工事にて平置きにするのかも管理組合で決定すものです。
また、駐車台数を減らすにあたり、マンション規模によっては東京都の駐車場付置義務条例も考慮しながらの対応となり、場合によっては行政との相談も必要となるようです。
弊社は茅場町駅にある不動産会社ですが、広さや条件にもよりますが、周辺の駐車場相場は月額4万円程~というのが相場です。
例えば、マンションで駐車場の空きが5台あったとしたら、4万円×5台で毎月20万円の収入がまるまる無くなることになります。
数字で考えても管理費収支に影響が出てくるのは明らかです。
◆理由②:東京での車離れ
マンションの機械式駐車場をやめてしまうそもそもの根本原因は、東京での車所有者の減少が大きいです。
「若者の車離れ」とはずいぶん長いこと言われているように感じますが、東京では若者でなくても車を所有しない人は多くいます。
また、今後は少子高齢化も進行するため、車所有者の減少が加速していくことも予想されています。
わたし自身、2022年現在、自宅マンションでは理事をやらさせて頂いておりますが、立体駐車場は動いています。
マンションの戸数に対してどれだけの車所有者がいるのかは重要だと内側からも感じています。
少し話がそれますが、マンション内に機械式の駐車場はあるものの、利用が面倒のため自分のマンションではなく、近所の他の駐車場を借りる方もいると聞きます。
そういった意味での機械式駐車場の非利用者も一定数存在すると言われています。
◆空いているマンション駐車場の有効活用方法は?
空いているマンション内の駐車場について何か有効活用方法はないのか?
空いている駐車場部分をマンション居住者ではなく外部の方へ貸し出すというやり方もあります。
貸し出すことで、駐車場収入はそのマンションの収入となりますが、管理組合がマンション外より収入を得るということになり、会計処理や納税申告などの手間は出てきます。
また、セキュリティの問題やトラブル時の問題なども出てもきます。
最近では、カーシェアへ駐車場の一部を貸し出しているマンションもみかけると思いますが、これも一つの方法です。
これらや収支も考慮したうえで、各マンションの管理組合での決議により方針を決めていく必要が出てきます。