漫画「正直不動産16巻」を読みました。
今回もそれぞれの章のテーマについて不動産会社目線で触れていこうと思います。
◆買取保証(後編)
前回の続きからはじまります。
前回:漫画『正直不動産15巻』を読んで
物語の内容としては、結局は買い替えのための販売期間内に売り出し中の価格では売れなかったため、買取保証の額にて買取になったようです。この物語の中ではこの部分については少ししか触れられていませんが、買取については笑顔で納得されている描写が描かれていました。
買い先の物件を先に購入し(買い先行)、売却物件は結果的には下取り(買取)してもらうことで買い替えを完結させたということになります。
物語は主人公の部下が退職しライバル不動産会社へ入社したところで終わっています。
◆サブリース解約
サブリースの解約についての物語です。借地借家法により、サブリースの借主である管理会社(不動産会社)の立場が有利になるという内容が物語になることで読みやすくわかりやすくなっています。
サブリース契約をしている管理会社が収支が合わず解約を申し出たところオーナーが解約に難色を示します。不動産会社の人間はもちろん、不動産賃貸業(投資)の勉強を少しでもしたことがある方であれば、これがよく出てくるリスクパターンであることは理解しているはずです(※すべてのサブリース契約がこのパターンということではありません)。
今回の物語でも、長期一括借り上げを信じていたオーナーが解約や賃料減額に対して難色を示すという内容となり、リスクについて把握できていない状況でした。サブリース契約はあくまでも借主側が有利な契約です。このリスクはやはり賃貸業を行うのであれば必ず理解しておくべきところです。
また、オーナー側からの解約については半年分の賃料の違約金がかかるということも書かれており、この違約金についてもよく目にするものです。加えて、サブリース契約が結ばれている物件を出口戦略として売却しようとした際、相場よりも低めの金額になってしまうとうことも書かれています。これらについても、賃貸業をするにあたり把握しておくべきところです。
◆共有物分割請求
兄弟で持分半分ずつ相続した実家(戸建)の物語です。
実家を売りたい弟と実家に住み続けたい兄。ここで話がつかない展開へ。タイトルにもなっている通り、共有物分割請求へと進みます。最終的には紆余曲折がありながらも売却へと進むことになります。
共有物分割請求が行われた場合、
- 物件を持分割合で分ける(土地の分筆など)
- 相手方の持分を買い取る
- 物件を売却し現金を分ける
が解決策であると紹介されています。
また、売りたい側が自分の持分を売却した場合の相手方持分者のリスクについても描かれており、内容は不動産会社の人間としても改めて勉強になる内容でした。
共有については今回の相続しかり、夫婦ペアローンでの住宅購入についても同じです(私自身にも当てはまります)。改めて理解をしておこうと思えた物語でした。
◆ハイエナ店舗仲介
この物語で紹介されている「ハイエナ店舗仲介」という営業手法について、私は今回読むまで全く知りませんでした。不動産会社として飲食店仲介にこのような営業方法があるのだと正直驚きました(現実にも存在しているのかは不明です)。
不動産の営業手法としては全く真似できるものでもありませんし、真似しません。物語のような目的となると売主・借主互いに不利益な面もあると感じます。しかし、不動産会社のする営業としては理にかなっているという側面も理解できました(大変であることは間違いありませんが)。
逆に飲食店の店主の方の立場を考えた時に、実はこういった営業を知らぬ間に受けているということもあるのかもしれません。
今回の「ハイエナ店舗仲介」という物語、私個人としては完全に新たな知識となりました。そういった意味でも、わかりやすい物語の内容に感謝致します。
◆但し書き道路物件
不動産会社の人間であればこの「43条但し書き道路」については認識しているものです。物語は一般の買主(エンドユーザー)へ但し書き道路の物件の仲介を試みるものです。
購入するにあたってのデメリットが出てきました。
- 但し書きの許可がおりないリスク
- 住宅ローンにあたっての担保力不足
物語では1については契約書へ停止条件を入れることで進め、あとは住宅ローン事前審査をというところで、前編が終了します。
次回後半へ続く