不動産の仕事をしていると、売買の際に物件所在地の市区町村の都市計画を調査する必要が出てきます。
いぜん、関東のある都市の物件を売買する際に、都市計画関連の資料を取得した時のことです。
その都市では「コンパクトシティ」化という政策を掲げていました。
ざっくり言うと、「人口が減ってきているので、みんなの生活エリアを一部に固めて(まとめて)いこう」というものになります。
極論を言ってしまえば、ラスベガスのように街の発展を一極集中し、一歩出ると砂漠の世界が広がるという街のイメージでしょうか(極論です)。
(ラスベガスは砂漠の真ん中に意図してつくられた街なので、スタートの方向性はコンパクトシティ可とは真逆となりますが)
コンパクトシティのメリット
では、なぜコンパクトシティ化を推進するのでしょうか?
不動産会社の目線で簡単に解説させて頂きます。
住民が広範囲で生活していると、広範囲で公共施設のインフラなどの維持修繕が必要となり、行政のお金が回らなくなってしまいます。
使用頻度の低い道路や水道管、ガス管、下水管、公共施設など、さまざまなインフラに対しても維持修繕が必要となります。
※例えばの話です。
国道から300メートルの道路(公道)の先に2軒の住宅があるとします。
その道路は、その2軒に住む住民の方しかほぼ使用していません。
水道管、下水管、ガス管は通常、道路の下を通っていますので、この2軒の家に対して国道から300メートルの距離を水道管、下水管、ガス管を引いているものとします。
この2件の住宅の方は全く悪いわけではありませんが、この水道管、下水管、ガス管、道路自体を維持管理していくのには、当たり前ですが費用もかかります。
これらから逆算し、例えば街のみんなに駅前の一つのエリアに集まって生活をしてもらい、そこのインフラ関係や施設は充実させ、維持修繕していこうというのがコンパクトシティのメリットということになります。
コンパクトシティ化の必要性
コンパクトシティの街づくり政策を打ち出す地方都市は、人口減少の進む日本では増えていくのは必然と言われています。
遠くない将来、エリアによっては3軒に1軒は空き家になると言われています。
人口減少が進む、即ち税収も減ります。
私自身、千葉県の八千代市で育ちました。
1983年生まれの、今でこそバブル期と呼ばれる世代の子供としては、当時からするとこういった世の流れは正直考えられません。
転入率が全国一位で人口が増え続けている東京にいれば今は関係ないでしょうが、「集まるところに集まざるをえない時代」がすぐ近くまできていると言われ続けています。
いわゆる二極化と言われるものです。
そうしなければ地方行政が破綻してしまいます。
事実、財政破綻してしまった実例も存在します。
地方行政の舵取りというのは、幾多の課題があり、非常に難しいことは容易に想像がつきます。
しかし、今回のコンパクトシティについて考えた時も、各市区町村の行政としての「税金の使い方」というのは非常に重要な課題として常について回るものであることは疑う余地がありません。
それぞれの街には歴史も文化も慣習も存在します。
コンパクトシティというものは果たして良いものなのかどうか、正解というのはないのかもしれません。